各地に散っている一時的居留者たちへ

 ペテロ第一の手紙はこんな言葉で始まります。

エス・キリストの使徒ペテロから,ポントス,ガラテア,カパドキア,アジア,ビチニアの各地に散っている一時的居留者たち(へ)
(新世界訳聖書 ヨハネの第一の手紙1章1節)

 ペテロは「各地に散っている一時居留者たちへ」と呼びかけています。「散っている」という表現に注目してください。また「一時的居留者たち」という表現にも注意してください。

 どちらも恵まれた人の立場を表現してはいません。ばらばらになって、定住地を持つことができずに、その地の国民からは、見下げられているようなそんな印象を受けます。

 でもこれが聖書に書かれている神の民の姿です。どうしても、神に仕える人たちは、このような状況にならざるを得ないからです。真実のために生きるならば、はみ出さざるをえないし、神が与えてくださる定住地が約束されているので、わずかな期間だけ忍耐します。

 離れ離れになっていたとしても、結んでくれているのは、神への愛と隣人への愛です。それ以上のものは持たないようにできないでしょうか。これこそを本当の意味で、土台に据えることはできないでしょうか。

 自分より立場の高い人を仰ぎ見て、小さな子どもたちを犠牲にしていませんか。家族を犠牲にしていませんか。でも僕たちは、神に仕えているので、視点をずっと上にあげて、天から地上を見てみないといけません。

 そこでは、人間が人間に特権を与えていますか、人間が人間を裁いていますか。そうであれば、そこは平らではないのです。エホバは「わたしは高いものを低くし、低いものを高くする」といわれる神です。その言葉を胸にいれたなら、それに従って歩んでいきましょう。

 しばらくは苦難の中にいるとしても、神は、終わりの時のために、朽ちず、汚れない命を天にとっておいてくださっています。イエス・キリストの到来のときに、それらが明らかになります。

 すべてのものは滅び行きますが、神の言葉は永久に存続するとあります。神の言葉に信仰を働かせる者の命は、その信仰のゆえに保護されています。