ソロモンの歌を読む その1「恋する男女の小さな物語」

 さて今日からは、ソロモンの歌を読んでいこうと思います。ソロモンの歌は、ヘブライ語聖書の中に登場しますが、他の聖書の部分と異なって、恋する男女の物語になっています。エホバは登場しません。

 さて皆さんは、ソロモンの歌について、どうしてこの物語が聖書に含められているのだろうかと疑問に思ったことがありませんか。後代の解釈は、この疑問に答えるために「これはイエス・キリストへの愛について表現しているものだ」という人もいますが、僕は否定します。

 純粋に神は、恋人たちの愛の表現を喜んでおられるのだと考えれば、そんなこじつけはいらないと思います。聖書には、性的な表現や、愛情表現が随所にでていることを考えれば、それほど不自然な位置に置かれていると考えなくてもよいと思います。

 現代的なソロモンの歌の解釈というのは、ソロモンの歌に対して、アガペー的な神への愛や、会衆への愛や、神への愛を、含めすぎだと考えています。素直に読めば、そんな読み方は不自然で、純粋な恋人どうしの詩として読むのが自然だと思います。

 それで、僕は次のような読み方をしたいと思います。

ソロモンの歌を、恋人どうしの純粋な愛の物語として読む

 ソロモンの歌には、比喩的な愛情表現がたくさんでてきます。お互いのよいところを好きな男女が、誉めあいます。恥ずかしいくらいに誉めあいます。会いたいという思いが伝わってきます。そんな詩です。