ソロモンの歌を読む その3「この物語の特徴」

 ソロモンの歌を読んでいく前に、この物語の特徴や背景について書いておきたいと思います。

 この物語をよいものにしているひとつの特徴は、ひとりの娘とひとりの羊飼いの恋の物語だということです。どうしてソロモンにとってこの歌は、素晴らしいものだったのでしょうか。

 実際ソロモンは、たくさんの妻やそばめを所有していました。たくさんの妻や、セックスする関係にある女性をたくさん所有していました。

 でもこの歌は、ひとりの娘とひとりの羊飼いの愛の物語です。ソロモンがおかれていた状況とは、対照的な状況です。ソロモンは多数の妻を持ち、この物語は、一対一の恋愛です。

ソロモンの歌は、一人の娘とひとりの羊飼いの1対1の恋愛を描いた物語

 聖書では一貫して「二人は一体」という関係を主張しています。イエス・キリストは、イスラエル人は複数の妻を持つことを許されたが、それは当初の神の目的ではなかったということを、論じています。

 ですから、この物語からは「二人は一体」ということの価値を、それを行わなかったソロモン王が、良いと感じる歌という構成になっていると思います。非常に面白い構成です。

 一人の娘とひとりの羊飼いがどのような人物であったかをここで少し記しておきます。

 娘は、イスラエル人で、エルサレムに住んでいます。そこにある宿営に住んでいるようです。また働いている場所は、ソロモンの所有する農園のようです。最初どこで出会ったかは書かれていないように思いますが、農園で働いているときに、放牧をして歩いている羊飼いとであったのかもしれません。

 娘は、もしかしたら、ソロモンの花嫁候補のひとりだったのかもしれません。ソロモンの妻になるかもしれないということを示唆している文章もあるように見えます。けれども、娘の愛は、羊飼いに対して一心に向けられます。

 羊飼いは、職業は羊飼いで、ゆりの花を育てて香料を作る農園でも働いているようです。放牧をしているときに、娘とどこかで出会って恋をしたようです。羊飼いもイスラエル人ですが、もともと知っていたわけではなくって、それほど近縁ではない印象です。

 それで僕はソロモンの歌に対して以下の仮説を立てたいと思います。

ソロモンの花嫁候補であるひとりの娘が、ひとりの羊飼いに一心を愛を抱く物語

 この愛は、ヤハの炎のようであって、王の権威や財産や名誉であっても、止めることができません。そのような熱い熱い恋の歌です。