イエスが知らせた神の名は、「エホバ」ではなく「アバ」

 イエスは、「テトラグラマトンYHWH」をなんと発音していたかという疑問がありますが、それは、おそらく「アバ」でしょう。「エホバ」ではなくって、「アバ」です。初期クリスチャンも、イエスにならって「アバ」と呼んでいたはずです。

そしてさらにこう言われた。「アバ,父よ,あなたにはすべてのことが可能です。この杯をわたしから取り除いてください。
(マルコ 14:36)

 パウロも同じように。

あなた方は,再び恐れを生じさせる奴隷身分の霊を受けたのではなく,養子縁組の霊を受けたのであり,わたしたちはその霊によって,「アバ,父よ!」と叫ぶのです。
(ローマ 8:12)

 アバとは「父」という意味です。それで、以下の文脈でイエスが言おうとしていることがわかります。

義なる父よ,確かに世はあなたを知っていませんが,わたしはあなたを知っており,これらの者たちも,あなたがわたしをお遣わしになったことを知っております。そしてわたしはみ名を彼らに知らせました。
(ヨハネ 17:25-26)

 福音書以降で、神の名がまったく現れないように感じるのは、実は、神の名が使われていないのではなく、その名前が、「アバ」つまり「父」に置き換えられているからです。

 福音書以降では、「父」という表現がたくさんでてきます。これは、ヘブライ語聖書との、大きな差異です。

 発音が、失われた神の発音は、イエス・キリストが「アバ」として、復活させました。それゆえ、イエスは、「アバ」と神に呼びかけます。

 神は、名前で呼びかけられなくなったわけではなく「アバ」という名前で、呼びかけられています。ヘブライ語聖書で、ダビデが「YHWHよ」と呼びかける場所は、ギリシャ語聖書においては「アバよ」となります。

 キリストは、ダビデが神に呼びかけた感覚を、そのまま継承しており、その表現において「アバ」と呼びかけます。