ひとたび立ち直ったならあなたの兄弟たちを強めなさい

 シモン・ペテロという人は、イエスの愛すべき弟子のひとりでした。ガラリヤの海で漁をしていたときに、イエスの追随者になるように招かれました。イエスの生存中イエスに堅く従いました。

 ペテロににもサタンによる試みのときがやってきます。イエスが捕らえられた夜、ペテロは近くでイエスを見守ろうとしていました。

 けれども、そこにいた人に「あなたはイエスと一緒にいた人ではないか」と聞かれると、自分はイエスの弟子ではないし、なんの関係もないといって3回もイエスを否認してしまいます。その直後にイエスと目があいペテロは涙を流します。

 ペテロは「牢獄に入ることも死ぬことも覚悟している」とイエスに伝えていました。けれども、サタンによる試みのときが実際にきたときには、ペテロは負けてしまったのです。

 イエスはペテロの人間的な弱さについてよく知っていました。ペテロ自身は自分のことを知らなかったですけれど、主であるイエスはペテロを良く知っていました。

 それで最愛の弟子にこんな助言を与えます。

 わたしは、あなたの信仰が尽きないようにあなたのために祈願をしたのです。それであなたは、ひとたび立ち直ったなら、あなたの兄弟たちを強めなさい。
(新世界訳聖書 ルカによる書22章31,32節)

 イエスは「負けないように」とは言いませんでした。そういうかわりに、ペテロの信仰が尽きてしまわないようにエホバに祈りを奉げました。そして、もし立ち直ることができたら仲間を励ますようにといいました。

 僕たちも信仰の面で弱ってしまっている仲間に対してイエスと同じような気持ちを持つことができると思います。

 「サタンの試みに負けないように」とか「これこれのことをしなければならない」というかわりに、その人のためにエホバに祈りを奉げることができます。イエスがしたようにまずエホバにお願いをしましょう。

 エホバはご意志に沿って行うことなら何でも聞いてくださる方なので、そのような祈りを聞いてくださいます。そして、その人が立ち直ることができるためにできることを考えてみましょう。

 耳を傾けることができます。静かに耳を傾けて、語ることをしっかり耳にしましょう。もし誘導しようとしたり、何かさせようとするならば、その人はきっと心を開くことができないでしょう。不安にならない言葉だけを選んで話してみてください。

 イエスも「ひとたび立ち直ることができたならばこうしなさい」といっただけで、ペテロの今の弱さを責めたりはされませんでした。