イエス・キリストの人物像 第6回 「イエスは処女マリアから生まれる」

 イエス・キリストは、人の子です。では、一体どのようにして生まれたのでしょうか。男性と女性が関係を持って、妊娠して、イエスが生まれたというわけではないんです。

 イエスの父はヨセフといいます。イエスの母はマリアといいます。でもヨセフは実際の父ではありません。ヨセフは、マリアと婚約していましたが、結婚をする前に、マリアが子どもを宿しているということを知ります。

 マリアと婚約を破棄しようとしましたが、エホバのみ使いが夢の中で、妊娠した子どもは淫行による子なのではなくて、聖霊による子であるということを伝えます。そして、ヨセフはマリアと結婚します。

 マリアは、ヨセフと関係を持っていないときに、神の聖霊によって妊娠しました。そして、マリアのお腹の中で、すくすくと育って、人間として誕生します。

 たぶんほとんどの人が抱くと思う疑問は、「はたして処女から子どもが生まれるのだろうか」というものだと思います。でもどうか「まったくばかばかしい話」と一蹴しないでください。

 神には目的がありました。それは、ご自分の民を罪から救うということです。罪から救うために行わなければならなかったこと、それは、罪の贖いです。けれども、罪の贖いは、人間だけの力では永久に終わらせることができません。

 どういうことでしょうか。こんなたとえを考えてみましょう。あなたが事業を起こしたとします。けれども、事業に失敗して、10億円の借金を抱えてしまいました。あなたの今の年収は、300万円です。とてもではないですが、払い終えられる額ではありません。

 借金を抱えた状態は、とてもとても辛い状況です。この借金さえなければ、家族みんなでゆっくりと幸せに暮らせるのにと思うのではないでしょうか。

 実は、人類すべてもこのような、借金苦のような状況にあったのです。それは、完全な人間アダムの犯した罪に対応する返済を、人間が返すことができないという状態です。

 罪は死を生みますが、アダムの罪を通して人類全体に広がった罪と死の影響力を、人間が贖うことはできませんでした。

 なぜなら、「完全なもの」には「完全なもの」が必要だからです。アダムは、完全な人間の命を罪によって失ったので、贖いとしてそれに対応する「完全な命」が必要でした。不完全な人間の罪を受け継いだのではない、「完全な命」です。

 そうです、イエス・キリストはそのような者として地上にこられました。ですから、エホバは、親から罪を受けついだのではない完全なみ子の命を、マリアの胎内に宿すことにされたのです。

 そしてイエスは、神のご意志を果たして、贖いとしてご完全な人間の命を差し出します。

 聖書全体を読み通すようになると、最初は不思議と思える部分があっても、確かに神は目的を持って、そのようなことをなされたのだということが理解できるようになります。

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