パンとぶどう酒 第9回「イエスは弟子たちの足を洗う」

 過ぎ越しの祭りの前の晩の食事のときに、イエスは弟子たちの足を洗います。福音書には、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの4人が書いていますが、これはヨハネによる書に記された記述です。

晩さん[の席]から立ち,自分の外衣をわきに置かれた。そして,ふき布を取って身に帯びられた。それから,たらいに水を入れて弟子たちの足を洗い,身に帯びたふき布でふき始められた。
(新世界訳聖書 ヨハネによる書13章4-5節)

 足を洗う作業というのは、その時代においては、奴隷が主人に対して行うものでした。イエスは弟子たちから「主よ」とか「師よ」と呼ばれています。でも主であるイエスが弟子の足を洗います。

 イエスは謙遜なので、自分を弟子たちよりも低い立場に身を置きます。イエスは弟子たちの上に権威を振るうのではなくて、弟子たちの足を洗って、仕える者であることを示します。

 イエスは手本を見せて、弟子たちが互いに仕えあう必要があることを示しました。特別な立場によって、何らかの権威を示すのではなくて、弟子たちが互いに仕えあうという精神をイエスは示しました。

 エホバに対して忠実で思慮深かったイエスは、弟子たちの間でだれが、他の人よりも偉いかという議論が、争いを起こすことを知っていました。

 それで、イエスは直接の弟子たちにさえ、人の上に立つというよりも、むしろ同じ囲いの羊として、群れの模範となるように勧めたのでした。

 イエスは神のご意志を成し遂げて、神よって高く上げられることになりますが、地上ですごした最後の晩に、自分を低めて、弟子たちの足を洗ったというのは、とても興味深い記述ですね。

 こういう点が僕がイエスの好きなところのひとつです。もちろんご意志を行ったイエスに対して、忠節な愛を示したエホバももちろん好きです。

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