第二回「罪とは何か」 | 罪と死について考える

 罪とは、原義的には、神から背くという意味です。神に背を向ける、神から離れるというような意味です。

罪とは「神から背く」という意味

 この意味で、アダムとイブは、罪を犯しました。つまり、神に背を向けました。神の言葉を守るのではなくって、神の言葉を踏み越えてしまったからです。

罪を行う傾向

 そこから派生して、罪という言葉は「罪を行う傾向」のような意味でも用いられるようになります。たとえば、「罪深い体」という表現は、「罪を行う傾向が強い体の性質」といったような意味です。

 日本語で罪といった場合は、普通は犯罪を意味します。つまり、国家の刑罰法規が存在して、それに違反することが罪なのです。近代社会は、罪という概念を神から切り離してしまいました。

 罪は、神さま、仏さまが、見ているから、悪いことはやっちゃいけないんだよという意味を持っていたのですが、近代社会は、神の存在に×をつけて、「神から背く」ということの意味を、「国家に背く」に置き換えてしまいました。

 そのようにして、国家という権威は、神を隠し、宗教団体に特権を与えることと引き換えに、宗教団体という殻の中に、それぞればらばらの神を閉じ込めたのです。

罪は受け継がれる

 話は戻って、罪という言葉の意味には、原義的に、神に背くという意味があります。聖書全体は、このような意味で罪をとらえています。

 たとえば、人は罪を受け継いでいるというときには、神に背く傾向を遺伝的に受け継いでいるという意味です。それゆえ、願いは、善いことを行いたいと思うのに、体は神に対して反したいという方向に動きます。

 罪は、受け継がれ、全人類に広がり、その支配的な傾向に、体は翻弄されざるをえないのです。

 イエスは弟子たちに、「わたしたちを誘惑に陥らせないで,邪悪な者から救い出してください(マタイ 6:13)」と祈るように教えました。神に背く体の傾向は、わたしたちを罪を犯させるように誘惑します。

 イブをだました蛇は、これが、邪悪な者のことですが、罪へと人を誘惑します。



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