食卓の下の子犬もパンくずを食べるのでございます

 先週は、聖書通読をし忘れました。書いてからあれれと思ったのですが、とき遅し。それでは、先々週にはなしていた、マルコ7章のスロフェニキア人のお話について、書こうと思います。

 この話は結構興味深いです。まず、スロフェニキア人の女性が、子供をイエスに治してもらおうとします。するとイエスは、こう答えます。

まず子供たちを満ちたらせなさい。子供たちのパンを取って子犬に投げ与えるのは正しくないからです。
(マルコ 7:27)

 「まず子供たちを満ちたらせなさい。」といっていますが、このニュアンスは「まず子供たちを満ちたらせる必要があります。」に近いものだと思います。新共同訳では、「まず、子供たちに十分食べさせねばならない」と訳されています。

 つまり、イエスが何を言っているのかを簡単にすると「まずイスラエルを救う必要がある。イスラエルの救いをほうっておいて、異国人を助けるのは正しくない」ということです。

 イエスが地上に来たときに、目的としていることは、博愛ではないのです。イスラエルと諸国民がひとつになるには、イエスの死が必要です。

 もちろん将来的には、博愛がもたらされることになるのですが、地上にくる際に、イエスが父から命じられていたことは、イスラエルの救いなのです。

 イエスは、断ろうとしましたが、女は、こういいます。

でも食卓の下の子犬たちも小さな子供たちのパンくずを食べるのでございます。
(マルコ 7:28)

 イエスは、女の信仰を感じ取ります。こぼれたものでもよいので、ほしいという気持ちです。イエスは、女の子供から悪霊を追い出します。

 イエスは表面的には父の言葉に背いていますが、父の思いをよく知っていたのだと思います。「わたしは憐れみを望み、犠牲を望まない。」